顔立ち、顔つき、顔色、「顔」をめぐって様々な言葉がありますが、どうも私達は「顔」を健康と美のバロメーターとして認識しているように思います。
では、ヒトではなく動物の場合、顔はどのような意味合いをもっているのでしょうか。
体の具合の悪い時、犬や猫を見てみると、目は伏目がちで、顔はうつむき加減で、しょぼしょぼと力が感じられず、他者から離れ、食欲がなくなり、ただ眠るばかりです。顔は心なしか、やつれているように見受けられます。
かたや、金魚や亀の場合、病気の時の顔の変化を意識しないせいもありますが、体は動かなくなりますが、顔にはあまり大きな変化はないように思います。
顔で健康の度合いを図れるのは、我々、哺乳動物だけなのかもしれません。
では体調が悪くなり、健康を損ねると何故、顔つきが変わるのでしょう。
普通に考えると、具合が悪くなると先述したように、大抵食欲がなくなりますから、全身的に栄養不足となり、衰弱して顔つきが悪くなるのだと考えられます。
これもまた、病気の時、皆様のご両親から言われたことかもしれませんが、
「おかゆをひと口でも食べなさい。食べると力になるから」
理屈っぽく考えると、ひと口あたりのおかゆから発生するわずかなカロリーでは、とても病気を克服するきっかけにはなりそうもないですから、ご両親が皆様に伝えたかったことは次のようなことではないでしょうか。
つまり「食べる」という行為で元気が出て、健康を取り戻すきっかけになると言いたかったのではないでしょうか。
再度、犬を引き合いに出すのも恐縮ですが、皆様はご自分のペットが老衰死した経験はお持ちでしょうか。
ご遺体には気の毒ですが、お口の中を観察してみて下さい。
そのワンちゃんは、気の毒に犬生(?)の後半はすべての歯が摩耗してほとんどの場合、咬まずに丸飲みしていたことがわかります。
病気を患うことと、老い衰え、死ぬことは違うようですが、体の働きが極度に衰えた結果ということには変わりありません。
そして、体の働きが正常であるためには、どうも正しく「食べる」という行為が必要なように思います。