♫ モーツァルトのお話 ♫
もともと、少年モーツァルトのずば抜けた才能を音楽の都、イタリアで開花させることは
父・レオポルトの夢でした。
特にオペラの作曲のためには、モーツァルト父子の暮らすザルツブルクの大司教領は全く不向きで、まともな劇場の一つさえない有様でした。
イタリア楽旅における少年・モーツァルトのすさまじい音楽的才能を示すエピソードがあります。
1770年、モーツァルト父子はローマに到着、バチカンにあるサンピエトロ大聖堂の中にあるシスティーナ礼拝堂を訪れます。
父・レオポルトの目的は、少年・モーツァルトにシスティーナ礼拝堂のみで演奏されることを許される男声合唱曲「ミゼレーレ」を聴かせることでした。
難解にして秘曲「ミゼレーレ」は門外不出で、礼拝で合唱した歌い手たちは楽譜の持ち出しを禁じられており、違反した場合、破門されました。
父・レオポルトが「ミゼレーレ」の熟聴を要求したのは当然でした。ところが、モーツァルトはただ一回の拝聴で合唱曲を完全に暗記してしまい、すぐに宿屋に戻り、暗記した合唱曲をサラサラと譜面上に書き落としたというのです。
まさに稀代の大天才そのものでした。