前回は大繁殖したバイ菌、ウィルスが「喉」に感染して「病巣」化することをお話ししました。
今回は「病巣感染」のお話です。
1900年代初頭、病巣感染は多くの医学者の研究対象となり、歯科では1923年にウェストン・プライス博士により重要な研究成果が発表されました。博士の研究成果を要約すると大体、次のようになります。
①口においては主に扁桃、歯、あるいは副鼻腔などに限局した慢性炎症があれば、それが軽微であっても、この炎症が原因となって、口から遠く離れた様々な臓器に障害を及ぼします。(これを二次疾患と呼びます)
②歯性病巣感染の関連する病気には、心内膜症、リウマチ熱、関節リウマチ、IgA腎症、掌蹠膿胞症などがあげられます。また、他に犯されやすい臓器として眼、消化管、神経系などがあげられます。
③歯性病巣感染の原因となる物質は、口の中の常在性のバイ菌と、歯の根や歯の根の先に感染した歯で発生する毒素があげられます。
口の中のバイ菌で感染した歯は、虫歯であれ、更に進んで歯の根の管や歯の根の先までバイ菌が及んで炎症や局部組織の壊死、腐敗を起こした場合であれ、当然歯科治療の対象となります。ところがその治療と治療成果にも博士は分析のメスを入れました。