アメリカへの旅立ち **ブルーノ・ワルター**

指揮者、ブルーノ・ワルターの4回目です。

しかしブルーノ・ワルターが活躍したヨーロッパでは、反ユダヤ主義、ナチス・ドイツの台頭、ヒットラー政権樹立、ついには1938年ナチスによるオーストリア併合と続きます。

ユダヤ人ブルーノ・ワルター一家にとって娘がナチスに逮捕される事件まで起こります。娘を救出後、一家はスイスに移住し、演奏活動を続けますが、翌年娘がその夫によって殺害されるという異様な事件にみまわれ、1939年の第二次世界大戦勃発とともに、活躍の場をニューヨークに移すこととなります。

1911年に師とあおぐマーラーの死後も、まるで彼の精神を守るかのように欧州での音楽の活動を続けたブルーノ・ワルターでしたが、結局、ユダヤ人であるが故の理不尽な差別の中でマーラー同様、アメリカの地に旅立たざるを得なかった訳です。

大戦後、活動拠点はニューヨークにおきながら、ウィーン、ザルツブルク、ロンドンなどでの指揮を復活させます。

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