マンハイムでは宮廷付きのバス歌手フリドリン・ウェーバーの長女アロイジアに一方的に熱愛しますが、アロイジアはモーツァルトから彼女のためのアリアを頂いたり、多くの音楽的要素をさずけられたものの、結婚の意志はなかったようです。
一方的に燃え盛るモーツァルトのアロイジアへの恋心は彼女をイタリアでプリマドンナとして成功させるという、モーツァルト母子の旅の目的から大きく逸脱する方向へと進んでしまいます。
これを見かねた母と父からの猛烈な反対でモーツァルトは不承不承パリへと旅立つこととなります。
思い込んだら一心不乱に追及する青年・モーツァルトの一途な性格、疑うことを知らない人の良さを思わせるほほえましいエピソードではあります。
そしてパリこそが、モーツァルト一家の最後の望みであり、事実、パリ時代のモーツァルトこそ私達が良く知る“アマデウス(楽聖)”としてのモーツァルトそのものでした。