自然療法は自助療法

前回は猫の寝声(ゴロゴロ音)が鳴き声の主の猫ばかりか、なんと、ヒトの骨折患者さんにも有効というお話でした。

骨折は骨が生まれ変わるプロセスを利用して治します。つまり、骨の新陳代謝で治癒する訳ですが、この時に使われるエネルギーは元を正せば、体細胞内のミトコンドリアが作ったエネルギー物質を分解するプロセスの中で得られたものです。

あらゆる生命活動はミトコンドリアの作ったエネルギー物質の分解によって得られるエネルギーによって大半がまかなわれますから、骨細胞の中で「音」によって賦活化されたのはミトコンドリアだったと考えられます。

ここで思い出していただきたいのです。

では、癌を患い、自らのチェロという「音」によって癒された患者さんの場合は、どう考えるべきでしょうか。いのち・創・健的アプローチでは、こう考えます。

件(くだん)の癌を患った患者さんの場合、人生の最多忙な時期でしたから、細胞内のミトコンドリアは休むことなく、エネルギー物質を作り続け、癌に罹患した頃には、生産能力の限界を越えて疲弊しきっていたのではないかと思います。

もちろん、癌細胞の増殖を食い止めるための免疫システムも、生命活動の最重要な一部ですから、ミトコンドリアがくたびれた状態では充分に機能しません。

この最悪の状況を大きく変えたのは、自らの身体を自らで癒そうとした意識の変化でした。これにより、患者さんは癌も自らの一部であることを認識し、食養や忘れかけていたものの、今自分が本当にやりたい事としてのチェロの演奏に出会えたのだと思います。

この患者さんが、猫が好きだと良いのですが(?!)いずれにしろ自らの「音色」によって、ミトコンドリアが見事な復活を遂げた好例だと思います。

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