「ミラノ・スカラ座」  -ヘルベルト・フォン・カラヤンのお話 その16-

ダウンロード (25)元々、ヴェルディの名作『椿姫』は1835年ヴェネツィアのフェニーチェ劇場の2回目の公演の成功以降、オペラの上演回数の最も多いとされる、いわばイタリア・オペラの代表作です。

当の作曲家ヴェルディにとっても、1839年11月17日に処女作の『オベルト』の初演をミラノ・スカラ座で行って以来、当時のスカラ座支配人メレッリに気に入られ、メレッリの肝いりで1842年3月9日に『ナブッコ』がスカラ座で初演されるや、一日にしてヴェルディの名声は高まりました。

こんなことから、ヴェルディとスカラ座は切っても切れない関係であり、事実ヴェルディの数々のオペラがスカラ座で上演され、当時からミラノ・スカラ座は「ヴェルディの劇場」と呼ばれていました。

また『椿姫』は、カラヤンがスカラ座で手掛ける10年前の1955年に、マリア・カラスをプリマ・ドンナに迎え、ヴィスコンティ演出、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮の名演で知られるスカラ座にとっての大演目でもあります。

あらゆる点で9年振りの1964年12月17日のカラヤンによるスカラ座の『椿姫』上演の成功は約束されていたかに思われました。