晩秋  -モーツァルトのお話 13 -

借金問題をはじめとして私生活上の問題の表面化は、天才モーツァルトをも多いに苦しめたようでした。

モーツァルトを経済的に支えた予約演奏会も客が不入りとなり、出張演奏の依頼もめっきり減り、郊外故の自宅演奏会の開催不可能など、ことごとく収入の道が閉ざされていきます。

 

1790年1月にはオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』が初演されましたが、モーツァルトの支持者として名高い皇帝ヨーゼフⅡ世が逝去、かわったレオポルトⅡ世の即位載冠式に同行して、フランクフルトで私費で行ったコンサートと演奏も聴衆は不入りで、不成功に終わります。

 

1791年に入ると古くからのウィーンの友人シカネーダーからのオペラの依頼が入ります。

モーツァルトにとって、久しぶりの大きな仕事で、この時ばかりは急ぎの支払いや妻の病気、自らの体調の悪さ、不眠状態も忘れようと朝から酒を飲みながらの作曲となりました。

 

こうして生まれたオペラが名作『魔笛』でした。

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